転職活動をしていると、BizReachなどを通じてエージェントから連絡が届きます。大手企業との取引実績や長期的なキャリア支援をうたう内容も多く、一見安心できそうに見えるでしょう。
しかし、文面をよく読むと「優秀なエージェントとは言えないかもしれない」と感じるポイントも存在します。
今回はこんなスカウトメールは信用してはダメって例をご紹介します。
◆コンサルのIN/EXITサポートには自信がございます。
ポストコンサル案件も多数ございますので、是非一度お時間ください。BUXXXX様 恐れ入ります。 XXXXのYと申します。
ご登録のキャリアを拝見いたしまして、ご連絡差し上げました。
弊社はコンサルへのIN/EXIT転職のサポートを得意とするエージェントで、各社なかなか表に出ない情報や「温度感」を熟知しているのが強みです。
また、単純に右から左への「点」の転職支援ではなく、キャリアという「線」を横でフォローする、ということを信条としており、3~5年越し、あるいは10年以上に渡るお付き合いの方も多数いらっしゃいます。
是非、キャリアにおける伴走者として位置づけていただければと思います。BUXXXX様のご経歴に高く関心が御座います。 是非今後のキャリア、私にサポートさせていただけませんか?
コンサルタントとしてのキャリアを続けた場合の未来像や、EXIT先の候補など案件情報に加え、中長期的に見て市場価値を高める方など、幅広く情報提供させていただきます。
是非一度お時間いただけませんでしょうか。【特に深く刺さっているコンサルティングファーム・事業会社】
※お取り引きしている企業は他にも多数ございますが、中でも特に実績豊富で深くお付き合いしている企業です。下記以外にも変化球的なご提案などもいたします。【コンサルティングファーム】
A.T.カーニー/ローランドベルガー/アーサー・D・リトル/ドリームインキュベータ/経営共創基盤/デロイトトーマツコンサルティング/アクセンチュア/KPMGコンサルティング/EYストラテジー・アンド・コンサルティング/ガートナージャパン/べイカレント・コンサルティング/キャップジェミニ/日本アイ・ビー・エム/アビームコンサルティング/博報堂コンサルティング/野村総合研究所/三菱総合研究所/三菱UFJリサーチ&コンサルティング/マーサージャパン/デロイトトーマツFA/KPMG FAS/監査法人トーマツ/あずさ監査法人 など【事業会社】
三井不動産/三井物産/双日/日産自動車/豊田通商/パナソニック/コニカミノルタ/オリックス/三菱UFJ銀行/SMBC日興証券/ファーストリテイリング/ファミリーマート/資生堂/ユニ・チャーム/シャネル/LVMHグループ/スターバックスコーヒージャパン/日本英語検定協会/アマゾンジャパン/エムスリー/リクルートグループ各社/パーソルグループ各社/楽天グループ各社/PayPay/DeNA/サイバーエージェント/ユーザベース/日本電気/KDDIなど【ITベンダー・SIer】
日本アイ・ビー・エム/セールスフォース・ジャパン/SAPジャパン/ServiceNow/UiPath/AWS/アドビ/Zendesk/Coupa/proofpoint/DXCテクノロジー/日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ/富士通/NEC/伊藤忠テクノソリューションズ/日鉄ソリューションズ/電通総研 など【こんなご提案します】
・年収UPが狙える企業
・タイトルUPが狙える企業
・高年収の期待できる事業会社
・海外駐在/出張チャンスの多い企業
・裁量権を持てる企業
・ワークライフバランス重視
・リモートワークメインで働きたい
・関西圏へのU/Iターン希望
・将来的な資産形成を考えたい
など、他にもご要望に応じ幅広くお話しいたします。 是非ご返信いただければと思います。 何卒宜しくお願い申し上げます。
信用できる根拠
1. 会社自体の知名度と実績
このエージェントが所属する会社は、コンサル業界やポストコンサル転職に強いとされる有名なエージェント企業。コンサルティング業界とのネットワークを持ち、実績面では信頼に値します。
2. 長期的な支援姿勢
「3〜5年越し、10年以上の付き合いもある」といった表現から、短期的な転職だけを狙うのではなく、伴走型の支援を意識していることが伝わります。
いずれも企業としての指針であり、エージェントその人の実力ではない点に注意が必要です。
優秀ではない可能性
以下のような要素があり、機械的にメールを出している印象を強く受けます。
キャリアにおける伴走者になると言いつつ、サイトの私の経歴には何も触れていない点が、自分の人生を任せられないなと感じてしまうところですね。
1. 候補者のキャリアに即していない
私の経歴をきちんと読み込んだ痕跡がなく、「高く関心があります」と言いながら具体的な強みや市場での評価に触れていません。実際には“誰にでも送れる定型文”の可能性が高いです。
2. 管理番号呼びの補完がない
BUXXXXと、管理番号で呼びかけられているのはシステム上の仕様ですが、それを補うための個別コメントが不足しています。本当に優秀なエージェントなら「ご経歴の〇〇を拝見し〜」と具体性で個別感を出すものです。
3. 提案が「誰でも当てはまる条件」
「年収UP」「リモート」「海外駐在」など、一般的に人気の条件を羅列しているだけで、候補者の志向やライフプランに基づいたオーダーメイド感がありません。
4. 独自の情報提供が見えない
「表に出ない情報や温度感を知っている」とは書かれていますが、具体的に何をどう提供できるのかの例示がゼロ。これは「差別化できる強みをまだ提示できていない」サインです。
5. 面談誘導の色合いが強い
案件情報の提示はなく、「ぜひお時間をください」というフレーズが繰り返されるだけ。候補者にとってのメリットよりも、面談数を増やしたいエージェント都合が透けて見えます。
6. 抽象的なフレーズの多用
「点ではなく線」「市場価値を高める」「伴走者として寄り添う」など、耳ざわりの良い言葉が並びますが、経験に基づいた具体的なストーリーがありません。優秀なエージェントは初回から“生きた事例”を挟んで説得力を出してきます。
まとめ
このエージェントが所属する会社自体は、業界でも一定の実績を持つ信頼できる存在です。情報収集の窓口として利用する価値はあります。
ただし、今回のメール文面から見えるのは――
- 候補者への具体的な提案がなく、定型文の印象が強い
- 管理番号呼びを補う工夫がなく、個別感に欠ける
- 一般論や抽象表現ばかりで具体性が見えない
- 面談に誘導したい姿勢が前面に出ている
という点です。
👉 面談するなら、「私のどの経験に注目して声をかけていただいたのか」「具体的にどんな案件があるのか」を確認することで、担当者の優秀さを見極めやすくなります。